先月、六本木の森アーツセンターで開催されている「ドラえもん展」にいって来ました。
クリスマスシーズンの土曜日に行きました。ちょうど昼頃に到着し鑑賞したのですが、待ち時間はなく、会場は多少混雑はあったもののスムーズに回ることができました。家族連れも多く、誰でも行きやすい雰囲気がありましたね。
私が会場から出た時には待ち時間が40分になっていました。なので、今から行かれる方は午前中に行くことをお勧めします。
thedoraemontentokyo2017.jp
鑑賞していて最初に思ったのは、キャプションが噛み砕かれていて優しい。そして、ゆるい。私が見に行く大体の展示は、題名、素材、大きさ、制作年が書いてあるキャプションの場合が多い。しかし、ドラえもんと作家の思い出をゆるく綴っているものがほとんどであった。さすが現代美術というところか。
「ドラえもんのワンシーンを絵画にして見ました。」「名画のこの部分はドラえもんの手だった。」という作品もあれば、ドラえもんのドレス「ドラス」、「ドラえもんの道具は便利だけど実際にはないんだ。」という虚無感で終わるアニメなど、バリエーションがあって、視覚にも華やかな印象があった。
私はそんなにドラえもんを見ていない。一緒に行った友人は、ドラえもんが好きで、漫画は持っているし映画も見ているので、キャプションに添付してある漫画の1シーンを見て「あ、これってあの映画のシーンなんだ」と、盛り上がっていた。
そんな中で、私と友人、満場一致で気に入った作品があった。
クワクボリョウタの「LOST#9」(撮影不可)だ。
映画「ドラえもんのび太の秘密道具博物館」の世界を鉄道模型と日用品、LEDを使って光と影で表現した作品だ。
映画を見るよりも、今自分が見ているものの中に入って行く感覚があった。それは3Dでもおそらく再現できないのではないかと思うレベルだった。夢を見ている感覚。ドラえもんでいうなら、引き出しの中のタイムマシンの世界観に近い。
使っているものは大したものではないのに、こんな感覚を味わうことがあるのだ。と、ど肝を抜かした。
実はクワクボリョウタさんの作品は以前、千葉県・市原湖畔美術館の「ラップ・ミュージアム」で見たことがありました。
2017.08.11. Fri. – 09.24. Sun. ラップ・ミュージアム | 市原湖畔美術館/ICHIHARA LAKESIDE MUSEUM
「Lost Windows」という作品で
これもまた、一部屋使っています。窓と木の枝が壁全面に映し出されていて、襖を思い出し、懐かしい気持ちになりました。私は夏が好きなので、夏の夜の雰囲気があって好きでした。
「ラップ・ミュージアム」については、また別の記事に書きたいと思います。
あと、何と言っても村上隆ですよね。
「あんなこといいな できたらいいな」という作品です。友人は「あんなこといいな から始まりじゃないんだよ」と言っていたのですが、私はよくわかりませんでした。
ドラえもん展のチラシの顔にもなっています。村上隆ブランドのお花が敷き詰められている画面の上に、シールのような素材のドラえもんがペタペタ貼られているように見えます。実際はシールじゃないのですが、このチープに見せようとしている部分と、完成度の高さがアンバランスさがたまらないです。
増田セバスチャンの作品「最後のウエポン」は、想像以上に大きかった。なぜなら、私が持っていたチラシには下絵の段階しか載っていなかったからだ。題名がいいですよね。あんなに可愛いのに、想像させてきます。
森村泰昌&ザ・モーヤーズ「ドラス」
福田美蘭の「レンブラントーパレットを持つ自画像ー」
この展示を通して思ったのは、「みんなドラえもんリスペクト」なのだ。それだけでもドラえもんの存在としての強さを目の当たりにした。ドラえもんの形をあえて崩す作品もあったが、ほとんどの作品は、ドラえもんと一目でわかるものになっている。(シルエットだけのものもあるが、シルエットだけでドラえもんとわかるのもすごい)
批評、批判されるのが当たり前の世界ですが、絶対的なものは強いですね。たまにはこんな展示もあっていいよなぁって思います。でも、多様な価値観に飲み込まれないように、自分の中のふるいにかけながら、ザラザラっとした気持ちも大切にしていきたいですね。